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愛知建築士会の活動

女性員会令和4年度セミナー 大月敏雄氏『不安定社会における住まいまちづくり』 小部慶美

2023-03-01女性委員会

女性委員会では、防災・福祉といった建築周辺の社会問題に目を向けてセミナーを開催しています。

今年度は社会全体に共通している空き家問題、超高齢化、地域の活性化など様々な課題をかかえている不安定社会で、

住まいまちづくりのあり方について考えるセミナー及びワークショップを開催しました。

今回は東京大学 大学院工学系研究科建築学の大月敏雄教授をお招きして

1回目の令和4年12月4日は住宅政策、住生活の課題、今後目指す方向について学び、

2回目の令和5年1月21日はワークショップ形式とし、受講された参加者同士でディスカッションした内容を発表しました。

 

 1回目のセミナーでは日本に於ける住宅政策の歴史を学びました。

社会の変化に伴い課題も変わり、それに伴い新たな住宅政策が出来上がっていきます。

1992年ごろ、真冬には多くのホームレスが亡くなったため、

「越冬住宅」と言った冬を越すための生活困難者住宅「シェルター」を作りました。

2000年に入ると高齢者、困窮者に対象が移り、さらにLGBTQ、軽い身障者、児童養護施設出身者のための

生活困窮者住宅が必要になりました。

昔は「福祉」というのは町の中からどこか違うところに連れていくことを指しましたが、

今では精神病患者も病院で生活させるのではなく、地域で生活させようという流れになっていっているようです。

そういえばハウスメーカーも高齢者グループホームだけでなく、

補助金制度に伴い身体障がい者グループホームを手掛けるケースも増え、

住宅政策の変化によりこのような建物のニーズが増えていくのだと思いました。

 特に印象的だったのは、災害時の仮設住宅の問題についてでした。

避難所からの移動先としての急ごしらえの仮設住宅のため、住むための「家」しか建っていません。

買い物場所まで2キロの距離を大型トラックも往来するような道路を車に轢かれそうになりながら出かけて行くような生活。

その結果この環境では生活が出来ず、公園にテントを張って生活している人もいたそうです。

結局住宅を中心に「生活環境」もデザインしていかないと生活は持続できません。

大月先生の研究室ではそのような問題も考慮しながら、

様々な年代の方が孤立せずに生活できるコミュニティが形成できる仮設住宅を、デザイン提案されています。

 

 2回目のワークショップでは3グループに分かれ、女性委員会のメンバーがファシリテート、

発表資料整理しながら参加者の意見をまとめていきました。

それぞれのグループが住宅やコミュニティに関する課題についてテーマを決めていきました。

高齢者や男性のコミュニティなどなかなか最近の社会課題を絡めた秀逸なテーマで議論でき、

面白い視点のアイデアも出てきました。

1回目の座学をこのようにワークショップで自分事として考えるとやはり学びが定着するように感じました。

 

 2020年世界がコロナ渦になり、今はWithコロナ時代。コロナと共に生活する新たな生活様式が生まれてきています。

女性委員会もこのように今まではリアルでしか開催できなかったようなセミナーをオンラインで開催できるようになり、

地域も幅広く参加者として迎え入れることができました。

これからも様々なチャレンジをしながら皆様に喜ばれるセミナーを開催していきたいと思います。

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