2025-06-19まちづくり委員会
車椅子トラベラーの三代達也さんは、18歳の時バイク事故で頚髄損傷し、両手両足不自由となるが、その10年後に車椅子で世界一周旅行し、現在も国内外の旅を続けている。
事故後、行きたかった店に段差があり入れなかったことで、社会の見え方が「行きたい場所」から「入れる場所」に変わり、見える世界が小さくなったというが、23歳の時、初の海外旅行で訪れたハワイにて衝撃を受けたそうだ。ワイキキでは砂浜の上にマットが敷いてあり車椅子でもビーチに行けるし、飲食店には段差があってもリフトやスロープがある。バリアフリートイレは便器と手摺しかない簡素な造りではあるが、スペースが広いため「トイレに入れる」という安心感がある。店舗の片開き扉はボタンを押すと自動ドアとなり、手を使わずに出入りが可能で、大きな店舗だけでなく引戸が入らない小さな店舗にも設置されている。
ハワイ到着の夜、バーで居合わせた客に「一緒に踊ろう」と誘わるものの「車椅子だからできない」と断ったところ「なぜ皆と同じように踊ろうとするのか。音楽に合わせて体ゆらしているだけでいいではないか。」と言われ、その夜は障害のことを忘れて楽しんだとの体験談が印象的であった。
バリアフリー部会長の阿部一雄さんは、世界で最先端のバリアフリーの国はロンドンと聞き、2年前に行ってきたという。ロンドンの地下鉄車内はバリアフリーだが、エレベーターがある駅は全体の3分の1程度にすぎない。そこには駅の階段で車椅子ユーザーを見つけると何も言わなくてもその場に居合わせた人達が手助けして運んでくれる文化がある。
ロンドンタクシーは車体からスロープを数秒で取り出せるようになっており、運転手も手慣れている。日本ではスロープを設置してから片付け、出発までに5分くらいかかることもある。
日本のバリアフリーは、「規則だから」「危ないから」という理由から設備を整えることで対応しているが、海外ではよくも悪くも適当感があるようだ。