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愛知建築士会の活動

第33回全国女性建築士連絡協議会に参加して 名古屋名東支部 織田喜代美

2024-12-01女性委員会

令和6年7月14・15日に第33回全国女性建築士連絡協議会 (東京)が開催されました。  今年度は〝未来へつなぐ「まち・ひと・建築」~インクルーシブな社会を目指して~″と題して、

高齢化や多様化する現代において、誰もが安心して使える快適な建築について学び、

これからの社会づくりにつなげていくという趣旨のものでした。  その中での基調講演は〝誰もが安心して使える快適なトイレ″について考えるということで、

第一部ではTOTO株式会社真島香氏より

「一人でも多くの人に使いやすいパブリックトイレを目指して」

をテーマにご講演いただき、

第二部では株式会社日建設計畑島楓氏より

「インクルーシブな社会を目指して~トイレから誰もが使いやすい建築を考える~」

をテーマにご講演いただきました。  第一部ではパブリックトイレには様々な人が使いやすい配慮が必要で

バリアフリーデザイン(様々な身体状況の人々が、生活を営む上で支障がないように配慮すること)

であることはもちろんのこと、 ユニバーサルデザイン(バリアフリーを含め、すべての人に支障がないよう配慮し設計を行うこと)

であることの必要性についてお話しがありました。  また、近年の様々な人の多様性を考慮しパブリックトイレの設計は進められており、

性別で分けるだけでなく、様々な人が使える多機能トイレの分散化が進められているそうです。

例えば、多機能トイレに設置されているオストメイト利用者は交換装着するのに30分以上の時間を要し、

その間ベビーカーや子供連れの方は使用できないというようなことがないよう分散するといった配慮などがあげられます。  また、近年各企業で従業員満足度・ウェルビーイング(健康・幸福)に関心が高い傾向にあり、

オフィスで体調不良の時に行く場所としてはトイレという意見が多いことから、

多様な症状をさりげなくセルフケアできるプライバシーが確保されたトイレブースが設置されている。

というお話をいただきました。  第二部では講演者の畑島楓様御本人の性的マイノリティとしての生い立ちを通して、

建築士(日建設計 コモンズグループコンサルタントに所属)としての活動をご紹介いただきました。  日建設計内でのトイレ改修に伴い試験的にトイレを「誰が使う」 (男?女?障害?)ではなく、「どう使う」(使い方)で分ける試みを行い、 Relax・Refresh・Stylingに分け、それぞれ照明・香・音にまでこだわり構成したトイレを映像にて紹介いただきました。

また、公衆トイレの標準化という観点からOTECOという「見た目・機能・サイン」の統一化を図る事業の展開も紹介いただきました。 いずれもジェンダーレスの視点からのアプローチが感じられました。  その他、一日目は能登地震の被災地報告・岡山での水害の災害後6年目の活動報告がありました。

今年度、愛知県建築総合展の女性委員会主催の講演は水害についてでした。

その中に岡山の水害ついてもお話がありました。 しかし、その後の対策活動などのお話はなかったので、今回の報告は前回の講演の続きが聞けたような気がします。

2018年岡山建築士会倉敷支部と被災者、行政、NPOとのつながり。 2022年岡山被災者支援士業連絡協議会にて士業(専門家)、行政、被災者とのつながり。 2023年岡山県建築士会災害対策委員会にて建築士会、行政、参加者とのつながり。  また、コミュニティ協議会・PTA防災クラブ・小学校支援地域本部・高齢者支援センターとのつながり。

官民一体となって、根気強く活動を続けられていることに感心いたしました。  「災害後6年がたち様々な事業や支援の終了を迎える節目の時期、真備町の新しいスタート地点」と仰ってました。

まだまだこれからも精力的に活動されることに頭が下がります。  ワンバイワンでは愛知県から「すまいのえほんの読み聞かせワークショップ」の発表をしました。  2日目の分科会では私はE分科会

すまい学習をサポートしますあれから~続・兵庫県建築士会住教育支援チームの取り組み~

に参加しました。  阪神・淡路大震災の経験から「すまいの学習」の必要性に至り、 その知識を平等に得るには学校教育の中ではないかという結論になり、小・中・高校で活動しているという報告でした。

行政から年間予算をいただき、小・中学校からの依頼により、家庭科の住環境の授業に出張授業を行うというものでした。

講義内容は「防災」「換気」「音」「家庭内事故」など教科書での内容を踏まえて

学校と協議して決めるということでした。  授業内容を映像などで見せていただきましたが大変素晴らしく、 映像や実験・二酸化炭素検知器など様々な道具を駆使して行われる授業は、

研究者や行政や学校現場の方々との18年間の活動の中で研鑽されてきたものだそうです。  愛知建築士会・女性委員会でもすまいのえほんワークショップを通じて住教育を保育園・小学校低学年向けに行っています。

愛知県「すまいのえほんの読み聞かせ ワークショップ」の発表

委員会の中でもたびたび住教育として高学年・中学生向けに取り組みを行う話も出てきます。

ぜひ参考にしたいと思いました。  今回1日目・2日目と非常に中身の濃いお話で、人の行動の熱量に圧倒されました。

一人ひとりでは成し遂げるのは難しくても集団で取り組むことによって、

根気強く、長く続けることができる。それが未来を変えていくのだと感じました。

集合写真

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